シルバー人材センターへの登録を検討していても、全体像が分からない方も多いのではないでしょうか。「シルバー人材センターの仕事はきつい」「シルバー人材センターは給料が安い」などと耳にして、不安に思っている方もいるでしょう。
この記事では、シルバー人材センターで扱う仕事内容や仕組み、給与などをご紹介します。この記事を読むと、シルバー人材センターへの登録方法が分かり、自分に合った仕事を見つけることが可能です。
シルバー人材におすすめの求人先も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
シルバー人材センターとは
シルバー人材センターとは「自主・自立、共働・共助」の理念に基づき、会員の総意と主体的な参画により運営している組織です。「高齢者の雇用の安定等に関する法律」に基づいて事業を行う都道府県知事の指定を受けた社団法人で、市区町村単位に置かれており、独立して運営しています。
シルバー人材センターでの働き方は「生きがいを得るための就業」を目的としているため、一定した収入の保証はありません。ボランティア活動など社会参加を通じて、高年齢者の健康で生きがいのある生活の実現と、地域社会の福祉の向上・活性化に貢献することが目的です。
シルバー人材センターは、高年齢者のライフスタイルに合わせた臨時的かつ短期的、または軽易な業務を提供しています。地域や一般家庭、企業から請負・委任契約で仕事を受注後、会員から適任者を選んで仕事を遂行し、仕事の完成は契約主体であるセンターが負う形態です。
発注者の社員と混在して仕事をする場合や指揮命令が必要な場合は、シルバー人材センター連合を通じて、労働者派遣事業や職業紹介事業により業務を実施します。
シルバー人材センターの仕組みを紹介
シルバー人材センターの仕組みはどのようなものがあるのでしょうか。シルバー人材センターの契約形態の仕組みは下記の2種類です。
- 請負契約
- 派遣契約
請負契約
請負契約では、発注者とシルバー人材センターが委託契約を締結し、会員に仕事を紹介します。 シルバー人材センターや発注者と会員との間に雇用関係はないため、発注者からの指揮命令は受けず、混在作業もできません。会員は自分の考えや判断に基づいて業務を行い、シルバー人材センターから就業の対価として配分金を受け取ります。
また、仕事の発注者と会員の間に雇用関係がなく労災保険が適用されないため、シルバー保険が適用される形態です。
派遣契約
派遣契約では、シルバー人材センター連合と会員との間に雇用関係が発生し、社会保険や雇用保険が適用されます。 経験や知識に基づき専門性の高い仕事も引き受けられ、さまざまな働き方の選択が可能です。会員は、シルバー人材センターから発注者に派遣され、発注者の指揮のもとで働きます。月10日ほどの短期的・臨時的な就業、または週20時間未満の軽易な業務ですが、定期的に働きたい方におすすめの就業形態と言えるでしょう。
シルバー人材センターの主な3つの仕事内容を紹介
シルバー人材センターによって、取り扱う仕事内容は異なります。なぜなら、シルバー人材センターは市区町村単位に置かれており、各々が独立して運営しているからです。
シルバー人材センターの代表的な仕事内容には、以下の3つがあります。
- 軽作業
- 技能作業
- 事務・管理作業
軽作業
軽作業には下記のような仕事があります。
- 自転車整理・建物清掃、ごみ出し作業
- 公園清掃・除草作業
- 区設掲示板ポスター・チラシ掲出・撤去作業
- 内職作業(箱の組み立て・品物袋詰め・チラシの封入業務等)
- 老人ホームや福祉施設のシーツ交換作業
- 蚊の発生を防ぐ薬剤投入作業
- 家事援助・子育て支援サービス
- 室外の掃除・植木の水やり・その他簡単な作業
また、主婦や主夫の方であれば今までの経験を活かして、家事援助・子育て支援サービスの仕事ができます。
技能作業
技能作業には以下のような仕事があります。
- 植木の剪定
- 和洋裁の仕立て・リフォーム作業
- 襖・障子・網戸作業
和洋裁の仕立てやリフォーム作業は、和裁・洋裁が得意な方におすすめです。和裁は着物の裾上げや桁直し、洋裁は洋服の繕いや丈詰め、補修作業などをします。縫製会社に勤めていた方にも向いているでしょう。
襖・障子・網戸張替え作業は、張替え作業をしたことがない方にもおすすめです。 丁寧に指導してもらえるため、襖や障子の張替えに必要な知識・技能を学べます。もちろん、内装業などの経験がある方にもおすすめの仕事です。事務・管理作業
事務・管理作業には以下のような仕事があります。
- 一般事務
- 経理事務
- 調査・集計事務
- 筆耕・宛名書き
- パソコン入力
- 建物管理
- 施設管理
- 駐車場・駐輪場の管理
さらに詳しい仕事内容に関しては「シルバー人材センターで働くには?求人年齢や仕事内容と給料目安も解説」をご覧ください。
シルバー人材センターでできない仕事
シルバー人材センターは高齢者を派遣するため、危険な仕事や重労働など対応できない仕事があります。 シルバー人材センターで仕事を探す前にできない仕事を把握しておきましょう。シルバー人材センターでできない仕事は以下の通りです。
できない仕事 | 概要 |
混在就業 | 発注者社員と同じ業務 |
長期就業 | 月10日または週20時間以上の業務を1人で行うこと |
直接契約による業務 | シルバー人材センターを通さず企業と直接契約を結ぶこと |
危険な仕事 | 危険で有害な仕事や損害賠償が多額となる仕事 |
警備業務 | 住宅や駐車場、ショッピングモールなどで事故を防止する業務 |
シルバー人材センターでは混在就業は対応できないため、社員と同じ作業を共同で行わないよう注意が必要です。長期業務の場合は、複数の会員でローテンションして行います。
また、シルバー人材センターを通さずに企業と直接契約はできません。仕事を変えたい場合は、シルバー人材センターに確認しましょう。
さらに、フォークリフトや高所作業などの危険な作業もできません。また、受付業務や列の整理している会員が周囲の方へ声かけすることも警備業務とみなされることがあるため注意しましょう。
詳しくは「シニアにおすすめの求人先!高齢者の仕事の探し方や選び方のポイント」をご覧ください。
シルバー人材センターの給料相場を紹介
シルバー人材センターの代表的な仕事内容やできない仕事についてご紹介しましたが、給料相場がいくらなのか気になる方も多いでしょう。
仕事内容によって異なりますが、 シルバー人材センターで月8~10日ほど働いた場合の全国平均月収は3~5万円程度です。 希望の仕事がいつもあるとは限らず、一定した収入や就業日数の保障はありません。
毎月一定額の収入を得たり長期雇用で働いたりはできませんが、自分のペースで働けるでしょう。なお、シルバー人材センターで収入があっても年金を受け取れますが、雑所得になるため確定申告が必要になる場合もあります。
詳しくは「シルバー求人センターの給料相場は?見つけられる仕事の種類や問題点なども紹介」をご覧ください。
シルバー人材センターへの登録方法を5ステップで紹介
実際にシルバー人材センターで働く際には、登録が必要です。入会条件や登録方法が気になる方も多いでしょう。
シルバー人材センターへの登録方法は下記の5ステップです。
- 入会条件を確認
- 入会説明会の予約
- 入会説明会へ参加
- 入会登録
- 会員専用ページで仕事を探す
ステップ1:入会条件を確認
シルバー人材センターで就業を検討している方は、各市区町村のシルバー人材センターへ入会する必要があります。シルバー人材センターの入会条件は以下の通りです。
- 原則60歳以上の健康で働く意欲のある方
- シルバー人材センターの趣旨に賛同できる方
- 入会説明を受け、入会申込書を提出し、理事会の入会承認があった方
- 定められた会費を納入できる方
ステップ2:入会説明会の予約
入会条件に問題がなければ、入会説明会を予約します。 入会説明会は予約制のため、開催日時を確認しシルバー人材センターへ連絡してください。予約後、シルバー人材センターから入会説明会当日の持ち物や事前に記入が必要な書類が郵送されます。内容を確認の上、必要書類を記入し持ち物を準備してください。
ステップ3:入会説明会へ参加
入会説明会の予約をしたら、入会説明会へ参加します。 当日は、事前に記入した書類などを持参して、指定時間までに会場へ向かいましょう。入会説明会では、職員から以下の内容について説明があります。
- シルバー人材センターの仕組み
- 仕事に就く方法
- 就業の実例など
ステップ4:入会登録
入会説明会に参加し、シルバー人材センターの活動に納得した方は、入会登録手続きをしましょう。 会員になったあとの説明や簡単な研修を受け、事前に記入した書類を基に職員と簡単な面談をします。入会に関しての不明点や不安な点は面談時に質問しましょう。面談後は、年会費を納付して会員証添付用の写真を撮って入会登録手続きは完了です。
ステップ5:会員専用ページで仕事を探す
入会登録手続きが完了したら、会員専用ページの受注情報一覧表で希望にあった仕事を探します。 受注一覧表は、シルバー人材センターの窓口やホームページの会員専用ページにて閲覧できますが、自宅への郵送やFAXでの受け取りも可能です。気になる仕事があったら、シルバー人材センターに連絡し、担当職員に仕事の内容について質問しましょう。問い合わせた仕事を希望する場合は、担当職員と面談し条件が合えば紹介してもらえます。
詳しくは「シルバー人材センターへの登録方法とは?登録資格や働く流れなども解説」をご覧ください。
シルバー人材におすすめの求人先3選を紹介
シルバー人材の求人先は、シルバー人材センターだけではありません。シルバー人材センターは短時間・短期間の仕事が多いため、長期雇用を希望する方には、パートやアルバイトのほうが向いていると言えます。
シルバー人材におすすめの求人先は下記の3つです。
- マイナビ・ミドルシニア
- グラン・ジョブ
- シニアソング
マイナビ・ミドルシニア
出典:マイナビ・ミドルシニア
「マイナビ・ミドルシニア」は中高年やシニア向けの求人情報サービスです。 40代・50代・60代向けの求人サイトですが、60代・70代が活躍中のお仕事特集なども記載されています。単発的な仕事やフルタイム勤務、スキルや資格を生かした仕事を探すことも可能です。仕事や生活に役立つミドルシニアマガジンや、履歴書の書き方などが分かるサポートコンテンツなど、求人情報以外にも役に立つ情報が満載です。
また、マイナビ・ミドルシニア会員限定機能として、オファーがあります。オファーとは、登録されているプロフィールや経験に興味を持った求人企業から、会員のマイページにメッセージが届く機能です。
オファーは、会員に興味を持った企業からのお誘いのため、通常の求人検索では見つからない出会いのチャンスになるでしょう。
グラン・ジョブ
出典:グラン・ジョブ
「グラン・ジョブ」はシニア向けの求人サイトで、アルバイト求人サイト「バイトル」の1コーナーとして開設されています。60歳以上のパートやアルバイトのみが記載されているのも「グラン・ジョブ」の魅力です。グラン・ジョブで検索できる求人は、60歳以上と条件が決められているため、希望にあった仕事を探しやすいと言えるでしょう。
「グラン・ジョブ」では、応募前に写真や文章以外にも動画メッセージで職場の雰囲気や働く方の雰囲気を知ることが可能です。大都市圏のみではなく地方の求人も探せる他、短時間勤務や週1日の勤務など、体力的に厳しい方でも安心して働ける求人も多くあります。
一方で、今までの経験やスキルが必要な仕事もあるため、より自分に合った職を探せるでしょう。
シニアジョブ
出典:シニアジョブ
「シニアジョブ」は、50代以上のシニア世代のための求人情報サイトです。 50代以上のシニア求人数は業界最大級を誇ります。求人の検索や紹介などあらゆるサービスを無料で利用できるのも特徴の1つです。年代ごとで求人を検索できるため、対象年代を選べば募集している求人をスムーズに検索できます。軽作業から資格やスキルを活かした職種など多岐にわたり、正社員やアルバイト・パート、派遣社員などさまざまな雇用形態から仕事を探すことも可能です。
週2~3日ほどの仕事や長期の仕事なども掲載されているため、安心して仕事を探せるでしょう。
また、「シニアジョブ」のみで閲覧できる非公開求人も数多くあるため、他の求人サイトにはない仕事を探すこともできます。
他にも、シニアジョブにはシニア専門のアドバイザーが在籍しており、企業への応募書提出や面接日程の調整などのサポートを受けられる点も魅力です。就職や転職に関する悩みをサポートしてくれるため、就職・転職活動に安心して取り組めるでしょう。
まとめ:シルバー人材センター以外も検討してみましょう
シルバー人材センターの契約形態には、請負契約と派遣契約の2種類があります。代表的な仕事内容は軽作業、技能作業、事務・管理作業の3つで、危険な仕事や重労働などの求人情報は扱っていません。
また、給料相場は仕事内容により異なりますが、月8~10日ほど働いた場合の全国平均月収は3~5万円程度です。シルバー人材センターへの登録は、入会条件を確認後、入会説明会へ参加すると会員専用ページで仕事を探せます。
長期雇用や安定した収入を希望する場合は、シルバー人材におすすめの求人先もあるため、パートやアルバイトを検討してみると良いでしょう。自身に合った働き先を見つけたい方は、「シニアにおすすめの求人先!高齢者の仕事の探し方や選び方のポイント」をご覧ください。
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